2013年3月21日木曜日

船出

春の風にしては   なにかおかしい


風がまるで生き物のように   生きていて


まるで意志があるみたいに


うなっている


これが結界をむしり取る   剥ぎ取ろうとする   風か


まるで海の近くにいるみたいに


台風のような嵐が   陸を襲う


ああそうか   海の想念が陸へやって来たなら


ここはもう   結界のない   海の上と同じなんだ


風が強くなり始めてから   湿度が異様に高い気がする


雨はまだ降っていないのに   風がべたつく


春の風ってこんなにじっとりしてたっけ?


海上の風が   遠い陸の上まで吹いて来て


まるで船の上にいるみたい





いつもより   随分早く開花した桜の


まだ柔らかいつぼみを   無残にも


はたき落すかのように


風は大暴れして   憎しみをまき散らす


日本中を駆け巡る


まるでもう二度と   結界を張らせないように


この季節に   小手先の術を   仕込ませないように


桜が散って行く




まだ本当は   春の嵐が吹く


この季節は   3月は


ちょうどシステムの入れ替えの時期で


冬の寒さが残るこの季節は   まだどこかに冷静さが残る


本格的に   精神に   グラグラするものが来るのは


桜の木の下で   人の気が触れ始めるのは


生暖かい風が流れる   4月


5月にはもう   患者ができあがる   5月病




もしかしたら3月のこの風は


4月の罠から   人々を救うかもしれない


もう春に張りきれないかもしれない




なんだか人が狂暴化しているように見えるけど


まるで断末魔




桜の花の命が   短くなって行く






3月の嵐


長野市で観音像落下



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