アトランティス幻想 倉橋 日出夫
第2話 プラトンのアトランティス再考
「眠れる預言者」エドガー・ケイシーも、アトランティスについては言葉を残しています。ケイシーについては、あとで詳しく述べる機会があると思いますが、彼のリーディングが伝えるアトランティスは、驚くべき高度な文明を思わせます。水陸空どこにでも自由に行ける乗り物があったり、驚異のエネルギー装置が稼動していて、人々は何百年も生きたというのです。これは現代をもしのぐ超高度な文明といっていいでしょう。
エジプトのピラミッド群や、ピリ・レイスの地図などから予想されるのは、相当に高度な文明です。新石器時代の範囲に収まるようなものではなく、知識としても、科学技術としても、驚くほど高い段階に達した者たちが、かつて地球上にいたことを思わせます。
特に、3大ピラミッドにみられる高い天文学的な知識や、正確な石造建築技術は現代に匹敵するか、あるいは、もっとそれ以上に進んだ文明を思わせます。そのようなピラミッドの特異な性格を私は長年指摘してきましたので、いつも出発点というか、アトランティスについての考え方の根本にも、常にピラミッドがあるのです。
ところが、今日、ピラミッドから類推されるような高い文明の痕跡は、地球上のどこからも発見されていません。ほかにも何かがあってもよさそうなのに、それがない。どうも、これがおかしいのです。
私たちの多くの文明は、むしろ、新石器時代からゆるやかに発展してきたことを示しています。世界中のどの文明を見ても、旧石器文化から新石器文化、そして、農耕や牧畜の社会から、金属や文字や都市を持つ文明へと、ゆるやかに進んできたことを示しています。その間に、現代に匹敵するような文明が存在した証拠は、まだ発見されていません。
ただ、何かそれを思わせるものが、神話や伝説のような形で残っているのです。また、ピラミッドやピリ・レイスの地図があるのです。歴史に合わない異質な存在として残っています。
下の方で南米大陸と南極が繋がっている
ピリ・レイス地図とカイロの謎めいた関係
拡大すると蛇が描かれているのはなぜ?
オロンティウス・フィネウスの南極地図
ピリ・レイスの18年後に描かれた地図 こちらも南米と南極が繋がってる
4000年前の中国がつくった世界地図
古代地図はオーストラリアが描かれていないのが多いけどこちらはちゃんとオーストラリアも南極も描かれている 南米と南極も離れている
よく考えてみると、地球上にかつて本当に高度な文明があったとしても、私たちは、その文明の直接の後継者にはなっていないようです。高度な知識を高度なまま、直接受け取ってはいません。
私たちは私たちで、むしろ素朴な文明からスタートして、次第に発展してきた要素の方が強いように思えます。何かの知識や影響は受けたとしても、そのまま利用するほどではなかった。最初から飛行機に乗っていたり、コンピューターを使っていたわけではありませんね。
つまり、アトランティスのような未知なる高い文明があっても、私たちとは直接は連続していないように見えます。
第3話 アトランティスはどこに
よくエジプトやシュメール文明は、突然始まったかのようにいわれますが、じつは十分に長い準備期間というか、先行期間をもっています。太古の人々の交易活動は、エジプトやシュメール文明の誕生よりも、はるかに古くから始まっています。
その頃に、アトランティスという文明が存在していても、不思議ではありませんね。そんなものがあっても、全然おかしくない。
ただし、この場合のアトランティスは、あくまでも新石器文化の範囲内にある、プレ文明という程度です。これはこれでアトランティスに対するひとつの考え方です。
世界各地に伝わる神話や伝承は、なぜか似通っていて、ある共通した文明から派生したような要素があります。たいていの文明には、知識を伝えた者たちの伝承があります。そこには、かなり高いレベルに達した文明か、高い知識をもった者たちの存在が予想されます。
ピラミッドに収められた惑星のデータは、いったいどこから来たのか?古い航海用の地図に描かれた南極大陸の地形は、何に由来するのか?これらから想像されるのは、かなり高度な文明です。
世界各地の巨石文明は、やはりどこか似通っていて、汎世界的な広がりを感じさせますね。
アトランティスからイメージするのは、このように汎世界的な広がりをもち、エジプトやメソポタミアの文明誕生に影響を与えたような文明です。私たちの文明に先行するマザー・カルチャー、母なる文明ですね。どうも、限られた地域だけのプレ文明のようなものではないらしい。
大西洋
アトランティスの場所という点では、プラトンの記述に一番合うのは、このアゾレス諸島でしょう。ただし、この島々からは1万年前とか、数千年前というような古い時代の遺跡は見つかっていませんけれども。
プラトンによれば、アトランティスはほとんど一瞬にして大西洋の海底に沈んだということです。その原因は、地震や火山の爆発だったようです。
アゾレス諸島は、大地の割れ目といわれる大西洋中央海嶺の上に位置しています。世界でも指折りの活発な火山活動が続いている地震地帯です。今も海底の造山運動によって、大西洋の海底を年に2センチずつ広げているといわれています。
アゾレス諸島の島々の多くは、このように今も活発な噴火活動を行なっている活火山です。この海域ではこの数世紀の間に、小さな島ができたり、また海のなかに消えてしまったりという妙な記録があるほどです。
島々の乗っている狭い海台のまわりは、一挙に数千メートルの海底へと落ち込んでいます。
もし、本当にアトランティスという大きな島が、この付近に存在したとすると、その場所は今では水深5000メートルもの海底になっているわけです。
しかし、いったいそんなことが可能なのでしょうか。海から出ていた巨大な島が、一挙に数千メートルもの深い海底に沈む。そんなことが本当に起こるのかと思ってしまいます。
平教授は、「アトランティスのことはよく知りませんが」と、慎重に断ったうえで、
「火山島の場合は、噴火によって一瞬で数千メートルの海底に沈んでしまうことはありますね。沈むというより、山体崩壊ですね。磐梯山が爆発で崩れたように、火山島が爆発して、重力崩壊を起こすわけです。巨大な地滑りとなって、一挙に海底まで滑り落ちるんです。島がひとつなくなるなんてことは、世界中でしょちゅう起きています」
なんと、このように言われる。さらに続けて、
「火山性の海山がしばしば大崩壊することは、これまでよく知られています。ハワイ列島なんかは、すでにもう半分くらいが大崩壊してなくなってるわけです。我々は残った島々をオアフ島だなんだと見てるだけで、実際には、あれの倍くらいの陸地があった。ハワイ諸島の海底には、そのようにして崩壊した巨大な山体が、5千メートルの海底に散らばっています。そういう例が世界の各地で知られています。アゾレス諸島に近いカナリア諸島でも、大きな海底地滑りが起こり、島がなくなった証拠が以前から知られています。アゾレス諸島の調査はまだ知りませんが、山体崩壊が起きた可能性は十分あるでしょうね」
驚いたことに、可能性はあるということでした。アゾレス諸島付近にあった大きな島が、今では数千メートルの海底に沈んでいても不思議ではない、というようです。
同教授によれば、火山島が一挙に数千メートルの海底まで落ちるような現象は、通常の地震などによる断層運動ではありえず、火山爆発のような重力崩壊でしか起こりえないということです。
1万数千年前に大西洋中央海嶺のどこかの火山が噴火して、一瞬で沈んだとすれば、その痕跡が今、数千メートルの海底にあってもおかしくない。アトランティスも、そのようにして沈んだのかもしれない。
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