「揺り籠から墓場まで 」("from the cradle to the grave")
有名なこの言葉は
イギリスが社会福祉国家を目指したときのスローガンらしい
ふとこの言葉には
別のイメージがあるような気がした
欧米は火葬ではなく土葬だから
墓場には 棺桶に入れられて埋葬される
つまりこのスローガンは
揺り籠から墓場まで
最初から最後まで
始まりも終わりも
四角い囲いに人は囲われていると
そう唱っているような気がする
調べてみると 本当は原文では
"from womb to tomb"(「子宮から墓場まで」)
スローガンらしく 韻を踏んでいる
けれどこちらよりも
「揺り籠から墓場まで 」という言葉の方が
潜在的に共感するものが ある気がするのは
社会がどんどん 管理されていくにつれて
私たちは 囲いの中に追われる羊のように
その中で一生を過ごすことを
幸せだと想わされていて
そう想うほどに
現実もそうなって行く
亡くなる前
何度も病院から脱走した祖父
ひたすら家に帰りたがった祖母
病院で死ぬということを
嫌がるお年寄りはとても多くて
なんとなくその気持ちが わかるような気がする
病院で生まれた私には なぜそんなに病院を嫌がるのか
ずっと不思議だったけど
家で生まれた時代の人たちは
病院は還るところではないから
死を目前にして 病院から逃れたがるのは
あの世への旅立ちを 病院という囲いの中で迎えることを
無意識に拒絶していたのかもしれない
魂を管理されることを
病院で延命されるぐらいなら そこで自由な世界へ旅立てないなら
家の中で 自分が安らげる場所で
家族の傍で
静かに旅立った方が 自由になれる
そういうことが 肉体のくびきがなくなっていくと
感じていくようになるのかもしれない
囲いという字は 井戸の周りに柵があるよう
水を湛える井戸を囲むというのは
囲うという意味が
生命線となる水を閉じ込める 家畜の柵のようでもあり
潜在意識を表す 水を囲うことを
意味している
ここ一か月ほど あるイメージが浮かんでは消え 消えては浮かぶ
真っ白い空白の何もない所に
コの字型をした 鳥居のようなものが
まるで釘のような 小さなパーツで
それが たくさんたくさん 何重にも円を描くように
突き刺さっている
そんなイメージが 頭から離れない
真っ白い何もない空間は 多分 潜在意識というか
まだ解明されていない 未知の意識の領域で
そこに何百何千もの 鳥居のような
コの字型の釘が刺さっている
それはその魂に植え付けられた
囲いを意味していて
その囲いは 過去世からずっと
植え付けられて 囲われていて
転生を繰り返す間に
どんどん どんどん 増えて行った
生まれてすぐ 子供の頃に
母親に付けられた囲いの印かと
初めは想ったけれど
あまりにもその数が多いので
これは多分 ずっと前から
生まれる前から
その魂に刻まれた
囲いなんじゃないかと想う
囲いの数が多ければ多いほど
いろんな能力や 感性が
封じ込められていて
蘇らないように 印を付けられている
産まれてくるとき 赤ちゃんの時
人間の子供は 大声で泣き叫ぶ
子供がやたらと物を壊したり 傷つけたりするのは
子供は 自分でも気づかないほどの
大きな怒りを持って生まれてくるから
まるで 植え付けられた囲いを
取り払おうとするかのように
何かから 必死に 自由になろうとするかのように
周囲を破壊し
泣き叫んで
もがいている
無意識の領域にある囲いの印は
それが目印となって
まるでゴミ箱のように
いろんな厄が 捨てられる
いじめられっ子がいじめられるのは
自ら囲いに囲まれて 出られない様子を
まるで箱の中にいるように見えるから
いじめっ子がそれを
ゴミ箱にしてしまう
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