2012年2月29日水曜日

吉祥天女は夢の街

あれ・・・?


どういうわけか   またおかしな夢を見た


そういう時の夢は大体   明晰夢に近いんだけれども


明晰夢ほど鮮やかではなくて


明晰夢が   現代の3D映画だとしたら


昭和初期の   昔の映写機が回っている感じ


セピア色の世界に   時折カラーが混じる


最近そんな夢が続くんだけれども


脈絡のないものがほとんどだった


今日はなぜか   深夜になって


夢の意味がわかってきた


起きた時はまた   夢殿に連れて行かれたのかと   思っていて


今回もそうだったかもしれないけど


少し書いてみる


夢殿に連れて行かれるときは   大体和風建築が現れる


だから今回も   そうだと思った


夢を見た理由は   忙しいと忘れてしまう


だから結界が崩れて   皆が暇になった時


一番恐れることが起きる   


皆が夢を反芻すれば   皆が全てを思い出す











私は薄暗い畳の部屋で


畳んだ布団に寄りかかって


白い猫と一緒にうたた寝をしていたようだ


昔の長屋のような   土色の和風の部屋


どこかの旅館のように   殺風景な   


布団以外何もない部屋


障子や和風のガラス戸がある


ここが吉祥寺だということはわかっている


おしゃれな街のレトロな建物に


部屋を借りて   私は独り暮らしをするために


引っ越して来たようだ



うたた寝から目が覚めると


猫も一緒に起き上がって   戸口の方へ降りていく


猫の後に付いていくと


戸口には戸がなくて


黄色いのれんが   足元まで下りていた


のれんを開けて   猫が出て行くのを追わずにあきらめる


黄色いのれんの外には行けない    外はまぶしすぎる


のれんを開けた時


通りに居たのは   昔の同僚の女性だった


とても肌がきれいで色っぽくて   男性に人気があった


彼女が猫をあやして   中に入って来る


私たちは何か話したようだ


急に彼女の白い裸体が


寝そべってもだえている姿が   浮かぶ



私は部屋に戻る


この部屋は   何か変だ


隣の部屋と   曇りガラスの   和風のガラス戸で仕切られている


賃貸の部屋を借りたはずなのに   


どうして壁がないんだろう


隣には   二人の女性が住んでいる


ガラス戸を開けて話をする


ハデな柄の服をまとっている


吉祥寺の若者の   レトロなファッション


だけど分厚い唇が   真っ赤に塗られている


品のない笑顔で笑う


こんな筒抜けの部屋じゃ


彼を招けない


と思ったら


自分の部屋の布団の中で


彼と一緒に寝ていた


薄暗い部屋から   窓の外を覗くと


現代の私が   吉祥寺の街を楽しそうに歩いていた







戸口が開かれて   足元まで垂れ下がったのれんがある入口


吉祥寺にあるこの長屋は


ここは遊郭だった







過去世で私は   遊女だったかもしれない


部屋の中の私は  過去世の私


だから外に出れなかった


布団しかない   空っぽの部屋の中から   


青い空の下    


吉祥寺で遊んでいた   現代の私を


だから遠い目をして   寂しく眺めていた



それとも   もしかして


遊女さんからお手紙でも   貰ったのだろうか


夢の中で   お客さんは


一度も出てこなかった




吉祥寺に誘われる若い女たち


彼女たちは昔   遊女だった


吉祥天女とは   この街に集まる   遊女のこと





吉祥寺は


遊女の力で   出来た街


寺が遊女を押さえて   出来た街




そして街を支えるために


現在も若い女性を誘い続ける


吉祥寺の繁栄は続く


彼女たちは呼ばれ続ける



寺に握られた魂は


寺が崩れない限り


抗うことはできない









去年見つけた遊郭の動画。この建物や雰囲気に近かった。




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