2014年3月1日土曜日

クラウドアトランティス 6 末裔


第9話 ドゴン族のシリウス神話

西アフリカのマリ共和国に住むドゴン族は、なんとシリウス星人が地球にやって来たと思われる神話を保有している。彼らの宇宙創世神話の中心にはシリウスが位置しており、かつてシリウスからやって来た「水の主」ノンモが人類の祖となったというのである。
部族のなかでも神官などごく一部の人だけに、しかも、何段階ものイニシエーションを通して伝えられる秘中の秘の知識である。

問題は、彼らの報告に含まれていたドゴン族が持っていた驚くべき知識である。シリウスが主星と伴星からなる連星であることや、シリウス伴星の周期が50年であること、またシリウス伴星は白色矮星であることを、ドゴン族は知っていたというのだ。
当時、まだほとんど西欧文明に接していなかった西アフリカの奥地に暮らす部族が、なぜこんな知識を持っていたかが、ミステリーの始まりである。



アゾレス諸島

ドゴン族はイスラム教に改宗することを拒み、10~13世紀ごろ、西方のニジェール川上流域バマコ付近から、現在の中流域トンブクトゥ付近に移ってきたとされている。


地図の右下にマリが見える
バマコはギニアの近く
ドゴン族はもともと西アフリカの大西洋沿岸の近くにいたよう

地理的にアトランティスの生き残りの可能性もあると想う




シリウスBは、半径は地球ほどだが、質量は太陽ほどもある。これは1立方センチの重さが1トンとも、10トンともいわれる地球には存在しない物質でできているからだといわれる。こうした伴星の天文学的な性質が確認され、最初の白色矮星とされたのは1925年のことだ。

一方、ドゴン族のシリウス神話によれば、主星シリウスAのことを、彼らは「シギ・トロ(シギの星)」とか、「ヤシギ・トロ」と呼ぶ。60年ごとに行われるシギの祭礼の儀式と深く関係している。
しかし、この星はシリウス星系の根本ではなく、シリウスAを焦点にして、50年周期で楕円軌道を描いてまわる別の星を、彼らは宇宙の中心に置いている。この星が宇宙におけるあらゆる創造の出発点だという。ドゴン族はこの星を「ディジタリア」、または「ポ・トロ(小さな星)」と呼んでいる。
ディジタリアは天空の中でいちばん小さい星だが、いちばん重い星だという。「サガラ」という地球上のすべての生物が集まっても持ち上げられない重い物質でできており、「地上のすべての鉄に匹敵する」重さの物質だという。
これが伴星のシリウスBのことで、まさに、白色矮星であることを知っていたかのようである。未開と思われるドゴン族が、なぜ、こんな知識を持っていたのだろうか?



ドゴン族の知識には、ほかにも地球は太陽のまわりを運行しているとか、土星にはリングがあること、あるいは、木星には4つの衛星がある、などというものがある。月は「乾燥し、乾ききった血のように死に絶えている」ともいう。もちろん、こうした知識は、人間の肉眼で獲得できるようなものではない。

ドゴン族はまた、人体についても高い知識を持っており、血液が空気(酸素)を取り込んで、体内の臓器を循環していることや、赤血球と白血球の違いも知っていたという。このような医学的知識は、私たちの歴史では近代から現代に相当する。

要するに、ドゴン族の知識は私たちの文明史の枠に収まらないのである。

ドゴン族の神話や儀式は少なくとも数百年の歴史をもち、独特の仮面儀式として連綿と続けられてきた。グリオールによれば、最も複雑なシギの祭礼の暦の計算方法などは、何段階ものイニシエーションを経てようやく伝授されるという。
シリウス神話を共有するのはドゴン族だけではなく、他の3部族も同じなのである。




シリウスといえば、古代エジプトでも非常に重要な星だった。よく知られているように、7月の中ごろ、日の出直前にシリウスが東の地平線に昇ってくる現象は、「ヘリアカル・ライジング」と呼ばれ、特別の出来事とされていた。それはちょうどナイル川の氾濫がはじまり、耕地が潤う時期と重なるので、古代エジプトの暦の基準となってもいた。


シリウスは古代エジプトでは「セプト」と呼ばれ、前にみたようにイシス女神の星とされていた。イシスは古代エジプト最高の女神である。また夫のオシリスは古代エジプトの全時代を通じて、最も広く崇拝された神で、天空ではオリオン座を当てられている。どちらの神も非常に古くから信仰され、その起源は、王朝成立以前にさかのぼるとエジプト学では考えられている。

オシリスとイシスの信仰は、古代エジプト文明の誕生の瞬間からすでに存在していたようだ。となると、オシリスつまりオリオン座と、イシスつまりシリウスが、エジプト文明の誕生には何か関係しているのではないか、と考えてみたくなるわけである。



石板にはさらに、イシスは「ピラミッドの女主人」と記されている。イシスの大きなピラミッドが、すでにエジプト王朝の最初期の時代から建っていたように受け取れるのである。
つまり、ピラミッドの建設にも、イシスは何か関係していた可能性があるわけだ。


ドゴン族の神話では、ノンモが棲んでいると思われるシリウスCの惑星「ニャン・トロ」は、「女の星」と呼ばれている。わざわざ「女」と特定されているのだ。古代エジプトでもシリウスは「女神」イシスの星とされている。ここには何か関連があるのだろうか。


シリウスマーク
シリウスAのマーク 『知の起源』ロバート・テンプル著より


ドゴン族はシリウスAを現すのに、直線と曲線が交差した上図のようなマークを使う。このマークはじつは、海神ポセイドンのマークと非常によく似ている。ポセイドンが持っている三叉(さんさ)の矛(ほこ)のシンボルマークだ。


neptune.gif
海王星のマーク


この三叉のマークは海や水の象徴でもあるし、占星術では海王星のシンボルマークでもある(海王星はやはり水を司るとされる)。
これは要するに、水と関係するサインと考えてよいだろう。海の神ポセイドンを奉じるアトランティス王国にも通じるサインである。
ドゴン族はなぜか、このマークを人間の肉眼で見える一番明るい恒星、シリウスに当てている。つまり、シリウスAである。おそらく、「水の主ノンモ」と関係しているからだと思われるのだが、ひょっとするとアトランティスにも何か関係しているのだろうか。


  この三叉のシンボルマークは、気をつけていると、古代世界ではわりとよくお目にかかるのである。新石器時代までさかのぼるマークのひとつで、何かの意味を持っているようだ。インドでは、シヴァ神の強力な武器(パーシュパターストラ)が、やはり同じ三叉矛である。シヴァの息子で像の頭をした知恵の神、ガネーシャがこの武器を持っていることもある。
また、世界の古い民話では、三叉のマークは「鳥の足跡」というような表現で出てくることがある。何かの秘密の暗号のようなものらしい。かつてこのマークは、それを一目見ただけで何かわかるような象徴的な表現だったのではないだろうか。



超古代ほど水や海 魚がキーワードになっている
天孫神話は空や鳥ばかりなのに

海を意味する三叉の矛が
鳥の足になってから
天や鳥の時代が始まったのかな・・・


 各地の文明の最初の王、あるいは、最初の人間には、なぜかこの「M-N」という音の組み合わせがよく現れるのだ。エーゲ海のクレタ文明の初代の王は「ミノス」、またインドの伝説では、洪水から生き延びた人類の祖は「マヌ」である。
イギリスの人類学者、リチャード・ラジリーの『石器時代文明の驚異』(河出書房新社)によると、現在では新石器時代の研究がかなり進み、各地の民族の言語的な共通性がわかるようになってきたという。そして、男を意味するのは、さまざまな言語で「MANO」だというのだ。やはり、「M-N」である。英語の「MAN」もそうだし、日本語でも「モノ・者」という言い方がある。「変わり者」とか「くせ者」などという。
最初の人間あるいは、人類の祖となる人物を、同じ「M-N」という音で呼んであたりに、全人類の共通の祖先とか、共通の祖語とか、あるいは、何か文明誕生の秘密が隠されているのだろうか。
ただし、ノンモとナルメルだけは、「N-M」という音でどちらもナマズである。








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